保育士の育成が、幼児教育の一環につながっています

=== 小宮先生の活動について教えてください ===


私は今、昭和学院短期大学の人間生活学科 こども発達専攻で教鞭をとっています。ここでは2年間で保育士と幼稚園の教員の免許がとれます。今年は、幼稚園と保育園にそれぞれ100%の就職率で就職しています。卒業生のフォローアップということで、こども発達専攻の先生方と一緒にやらせていただいているんですが、私は担当で直接就職先に訪問させていただいて、卒業生のフォローアップをさせていただいています。


=== この活動を始めたきっかけは? ===


私が小学校の学校長をさせていただいているときのことです。幼稚園、あるいは保育園から小学校に上がってくる子どもたち自体には変化がないですね。継続していますよね。でもやはり小学校1年生になる環境と、今までの幼児教育の環境は大きく異なっているということもあって、そこを円滑にできるように、私は卒園してた幼稚園や保育園を自転車で全部まわっていろんな情報をいただきながら勉強をしていました。

その中で、幼児教育というものが人格を形成していくうえでものすごく重要なことで、小学校へ入る前のその段階というものが人生を大きく決めていくことなんだというのを実感しました。今、保育士を育成していることに関わらせていただいていますが、その卒業した学生たちをフォローしていくことが私の幼児教育の一環につながっていると考えさせていただいています。


=== 小宮先生が考える学校教育とはどのようなものでしょうか?===


例えば私が音楽の教師をしていたとき、私はいつも音楽室の前の廊下で子ども達が来るのを出迎えていました。そうすると、休み時間に喧嘩をしていた子がそのまま音楽室に入ってくるんですね。そうすると、私は45分間「こういう音楽を子ども達に教えたい」と思っていても、子ども達の関係がうまくいかないとそれはできない。ですので、子ども達がくる様子を見て、喧嘩があるとまず喧嘩をひとつづつほぐしながら対応してきました。

人間というのは生きていく中でいいことばかりではないですし、いろんな失敗をしたり、それからいろんな問題を起こしたりする子もいました。

小学校長になってからは、いろんな問題を起こした子ども達に対して「この子はダメな子」だとか色眼鏡で見るのではなくて、その問題が出てきたことはいいことだ。この子がこれから長い人生を生きていく中でいいことなんだと……。いいことにしていくために親御さんと話し合いをしてきました。保護者の方は、子どもが何か問題を起こすと「自分の育て方が悪かったんじゃないか」とものすごく心配されるんですけど。そうじゃなくて、ひとりひとりの子どもにはたくさんのいいところがあって、お子さんにはこんないいところがあって、でも、今回こういうことを起こしてしまったのはもったいないから、どうしたら一緒に乗り越えられるかを話し合って、一緒に乗り越えてきました。

学校というところは警察ではないので、その子がダメな子とかレッテルを張るところではなくて、いろんな問題が起こったことをどう対応していくのか……。社会の中で社会人としていろんなことが起こりますよね。いいことばかりではないです。その時に乗り越える力となる根幹となるのが学校教育だと思っています。いろんなことが起きても、それは乗り越えられるということを今までさせていただきました。


=== 今子育てをしている親子に何かメッセージはありますか ===


私は双子を育てましたが、子ども達になんでもしてあげることがその子にとって幸せだということを押し付けてきましたので、そういった反省を踏まえて思うことですが。

我が子であっても、子どもは自分のものではないんですね。それぞれ人格があって、その子がどうやって幸せに生きていくのかサポートするのが親の役目だと思っています。

本当に子どもが親の愛情を実感できること。自分はお父さんとお母さんに愛されているから頑張ろう。お父さんとお母さんに愛されているから、嘘を言わないで本当のことを言って助けてもらおう。そういう親子関係をもっていけるように、親が押し付ける愛情ではなくて……。

幼稚園児、保育園児の保護者の方々は、本当にいろんなことがあってお疲れかと思うんですけど、「お母さんだっこして」って言われたときに抱っこしてあげたりとか子ども自身が親の愛情を実感できる親子のコミュニケーションを大切にしてください。




小宮恭子

公立小学校の音楽教員として勤務後、教育委員会で10数年、教育委員の立場から教育を実践。その後、小学校長として学校経営を30数年実践。現在は昭和学院短期大学 人間生活学科 こども発達専攻で教鞭をとる。

ほいく・未来ファクトリー

保育の未来を考える人がつながる場所づくりと情報の提供をしています。

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